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Imiquimodが外陰癌を予防する

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Imiquimod May Help to Prevent Vulvar Cancer
(Posted: 04/08/2008) New England Journal of Medicine誌2008年4月3日号によると、外陰上皮内腫瘍(VIN)と呼ばれる前癌症状を有する女性は、標準的外科治療よりも不快症状や痛みの少ないimiquimod (アルダラ®)クリームが有効であった。


要約
外陰上皮内腫瘍(VIN)と呼ばれる前癌症状のある女性で患部にクリーム状の薬剤を塗布する治療が効果的でした。薬剤Imiquimod(Aldara®)によって起こる不快症状や疼痛は標準的外科治療に比較して少ないものでした。この試験は小規模ですが、imiquimodがVINの第1選択治療となるべきであるとする結論を支持しています。

出典 New England Journal of Medicine, April 3, 2008(ジャーナル要旨参照

背景
外陰上皮内腫瘍(VIN)は外陰異形成とも呼ばれ外陰部(女性生殖器官の外側部分)の表面で細胞が異常に増殖するものです。それは癌ではありませんが前癌症状と考えられます。VINのほとんどの症例がヒト・パピローマウィルス(HPV)の持続的感染に起因します。
VINのあるほとんどの女性は外陰癌を発現しませんが、医師はVINのどの症例が癌に進行しやすいのか予測することができません。このためVINの治療は外陰癌の予防に重要であると考えられます。

異常細胞の除去のための手術またはレーザー切除がVINの標準治療ですが、それには限界があります。すべての異常細胞を除去するのは困難です。たとえすべての異常細胞が除去されても疾病が再発することがよくあります。標準治療ではHPVを除去できません。さらにHPVは外陰部を損傷し、苦痛や性交が困難となる原因となります。

Imiquimodは、患部にクリームで塗布されると免疫組織を刺激し異常細胞を殺傷する薬剤です。予備試験はimiquimodがVINの効果的治療になるかもしれないことを示唆しました。

試験
VINを有する女性52人がこの試験に登録されました。彼女らは異常細胞のサンプルを摘出するため生検を受け、サンプルを検査室分析のため保存しました。そして、彼女らはimiquimod軟膏による治療もしくは有効成分を含まない同じ軟膏(プラセボ)による治療のどちらかにランダムに割り付けられました。患者と医師の両者とも誰がimiquimodで治療されているかまた誰がプラセボで治療されているのかを知りませんでした(二重盲検試験と呼ばれる)。ほぼ女性全員(各グループの26人中25人)がHPV感染試験で陽性と出ました。

16週間、女性らは週2回外陰部の患部にクリームを塗布し、患部に覆いをせずに一晩おきました。彼女らは副作用と他の薬物の使用を記録するため日記をつけました。彼女らは4週ごとに医師の検診を受けました。20週後に再生検を受けました。治療後の生検では、治療前の生検と同じ部位から細胞を摘出したことを確実に示すために写真を使いました。医師は7カ月後および12カ月後に患者を再評価しました。

試験はオランダ、ロッテルダムのErasmus大学医療センターのManon van Seters医師によって主導されました。

結果
20週後imiquimodで治療された患者26人のうち21人(81%)で異常細胞部位が25%以上縮小しました。これら21人の患者のうち、9人の病変が消失し5人の病変は75%以上縮小しました。対照的にプラセボで治療された患者では病変の25%以上の縮小はありませんでした。

Imiquimod治療群で最初のHPV試験で陽性であった女性のうち15人は、20週目で感染の徴候がなくなりました。それに対しプラセボ治療群ではHPV感染が消えたのは2人だけでした。Imiquimod治療群の69%でVINは軽度(それほど重篤でない)まで消退しました。
Imiquimodを用いた治療により、外陰部の痒みと疼痛が軽減しました。病変が消失した9人の患者は治療後12カ月無再発でした。

コメント
Imiquimodクリームは「VINの有望な薬剤です」と試験の著者は結論づけています。「便利で自己投薬できる治療としてimiquimodは忍容性が良好で、手術のような侵襲もなく痒みと疼痛を減少します。また健康に関する生活の質やボディイメージ、および性機能に影響しません。それゆえ私たちはimiquimodをVINの第1選択治療と考えます」

NCIの癌治療評価プログラムにおける婦人科癌専門医であるTed Trimble医師、公衆衛生修士は同意します。「VINの標準治療は外陰部を醜くすると同時に不快症状や慢性的な痛みを引き起こします」彼はコメントします。「この試験と他の試験結果はimiquimodが最初に使われるべきであることを示しています」

この試験が小規模(52人の患者)なので限界があるかもしれないとTrimble氏は付け加えます。しかし大部分のVINの試験は小規模です。それはこの病気が比較的まれなものだからです。このような条件下で、Trimble氏はこの試験は小規模であるがimiquimodがVINの治療に効果的であるという最終的な結論を支持するのに十分であると確信しています。

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内村美里人 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修


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